第四回 木ではないけど気になるはなし

今回は、木についてではありません。少し気になったことがあったのでここに記しておこうと思います。
それは、住宅の基礎にある点検用通路・・・いわゆる人通口についてです。
各住宅メーカーさん、工務店さんいろいろ苦慮されているところだと思います。
下の写真をご覧ください。赤丸で囲っている部分・・・これが人通口です。

木のお話し第4回ー1

少し見づらいかもしれませんが、赤丸で囲っている部分だけ床から伸びている鉄筋が切れているのがお分かりでしょうか。
設備点検や床下の異常を確認する際、床下点検口からすべての床下空間に行き来出来るよう通路が設けられます。
その通路となる箇所には基礎立上り(コンクリートの壁)がありません。
住宅基礎ではその部分が弱点部となってしまうのです。
小規模建築物基礎設計指針では、「水平力および鉛直力を受ける・・・・・連続的な基礎とする」とあります。
これはどういうことかと言うと同じ断面性能を有した基礎とする すなわち 人通口などの欠損部分はほかの立上りのある基礎と 同程度の補強をする必要があるということです。
仕事柄いろいろなビルダーさんの図面を拝見します。そうした中で人通口廻りの補強筋の位置が適切でないものも目にします。
せっかく補強してあるのに・・・位置が少し違うだけで効果が期待出来ないものになってしまいます。もったいないです!!
下の図は人通口補強の一例です。こちらでは基礎立上りと同様の断面性能とするため床スラブの鉄筋で補強しています。

木のお話し第4回ー2

基礎立上り上下にある主筋と呼ばれる鉄筋が上側(上端)については、人通口のところで切れてしまいます。
これでは基礎の連続性が成立しません。そこで下側(下端)を補強をします。一例ではその方法で補強した案を示しています。
基礎立上りにある下側の鉄筋は切らずにそのまま通します。そしてその両側に補強鉄筋を入れます。
このディテールで計算上は元の立上りがある断面と曲げ耐力はほぼ同性能となります。
しかし、せん断耐力については性能が落ちてしまうので使用箇所の柱スパンなど適切に見極める必要があります。
また、柱スパンが飛んでいる箇所に人通口を設ける場合は地中梁という別の補強が必要になります。
そのような意味でも建物の中でも重要な基礎設計については、構造設計者が適切判断し設計すべきと考えます。