第三回 木造住宅にも構造計算が必要!?

私たちは、木造住宅であってもしっかりとした構造計算が必要であると思っています。しかし、現在の法律ではそのようになっておりません。
木造の場合、構造計算が不要な条件として
●2階建て以下
●最高高さ13m以下
●軒高9m以下
●延べ面積500㎡以下

ほとんどの木造2階建ての住宅が該当するのではないでしょうか。一般的にこれは『4号特例』と言います。
『4号特例』とは、木造住宅のような比較的軽微な建物の建築確認の際に、構造関連の審査が省略されることを言います。構造計算のような高度な確認を行わなくとも建築士が構造の安全を確認することで審査を省略し、審査にかかる時間を短縮しているのです。
建築基準法では、建築士による構造の安全を確認する略算法として壁量計算及び四分割法が記載されています。

木のお話し第3回ー1

構造審査が省略され審査にかかる時間が短縮されることは審査を出す側、審査をする側にもメリットがあるかもしれません。しかし、簡易検討方法には適用できる範囲があります。多種多様な住宅仕様が存在し、また地震も増えている昨今・・・はたして簡易検討方法だけで満足できるでしょうか?
建築基準法が改正されたのは昭和56年です。その時代の住宅より現代の住宅は高気密・高断熱であったりさまざまな付加部材・機器などで建物自体も重くなっています。
建物は重ければ重いほど地震時に働く力が大きくなります。実際の状況に応じた建物の重さで適切に地震の力を算定する必要があると我々は強く思います。

木のお話し第3回ー2

構造計算を行っていても適切な条件で運用されなければ意味がありません。木造の構造計算ソフトは進化しており、大げさに言うと初心者でも操作できてしまうくらい便利な計算ソフトもあります。しかし、そんな優秀なソフトを適切に運用するのは使用者である設計者です。我々は、木造住宅であっても構造計算は必要と考え木造に関する知識と経験からその妥当性を判断できる構造設計者が設計すべきと思っております。

木造住宅の構造計算は構造を理解し経験のある建築士にお願いするのが一番ではないでしょうか。

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